医療法人ライフストリーム オレンジ歯科 院長ブログ

歯医者が嫌いな予防歯科医の診療風景

歯根破折歯のリグロス併用・意図的再植術

・あのー、ちょっと前にどっかのお医者さんがトルコかアルメニアかどっかで500万くらいで脚延長手術して身長10cm伸びたよワーイみたいなニュースがあったじゃないですか。まぁこれイリザロフ法で1日1mmずつ伸ばしていくやつなんですけど、10年くらい前に韓国でこの骨延長が流行って手術失敗で歩けなくなったりしたニュースあったよなっと思って検索したら出てきました。

news.livedoor.com

この手術自体は軟骨無形成症の患者さんに施術されるもので(滋賀県立小児保健医療センターさんの症例)、そんな危険なものじゃないんですけど、日本と比べて安価だからって海外でこの手術受けて失敗した場合、あっちの医療機関は基本的に無責任なんで、日本でまた再手術とか面倒なことになると思います。まぁ日本の医療機関も、あんま受け入れたくはないわな(どんな道具使ったかわからんし、向こうの医者が何百万貰ったか知らんけど、そのアフターフォローを保険でやれっての?っていう心情的にも)。

僕は足延長どうしてもやるなら、お金かかっても日本国内でやった方がいいと思いますけどね…

 

男性:左上の歯が噛むと痛い

左上5番、歯根がFMC外に飛び出してきている。
歯根が割れているようだ。

5番に太ロングなスクリューピンが入っていて、破折を起こしたようだ。

動揺があって、すぐにコアごと外れてきた。

真っ二つに割れてますねこれは。

 

まあ、抜歯です。
で、インプラントかブリッジが1本義歯か…という選択になります。
が、今回は再植で保存してみることに。

引っこ抜いて、抜歯窩を徹底的に掻把してから。

肉芽や歯石を除去してきれいにします。
なるべく歯根膜は残しておきたいところです。

スーパーボンドでくっつけます。
親戚の離婚したおじちゃんおばちゃんも、またこんな感じでくっついてくれるといいんですけどね?

グロスを抜歯窩に投入して歯根を戻しまーす。
だんだん上沼恵美子のおしゃべりクッキングみたいになってきましたが、
あとはスーパーボンドで隣在歯と連結して、歯根が骨とくっつくのを待ちます。

このとき動揺があるとくっつかなかったり、骨の再生が起こらなかったりしますので
固定が外れたらすぐに来てもらって再固定しないといけません。

 

この再植術は基本的にはあらゆる手を尽くしてうまくいかなかった時の最終手段と思ってもらった方がいいと思います。根管治療や根切、部分抜歯なんかで機能回復できるならそれが一番いい。上例のように歯根真っ二つで抜歯しかなくて、どうしても歯を保存してみたい、というような方のための術式だと思います。また割れてきたりとか、上手くいかないこともあるのでね。