医療法人ライフストリーム オレンジ歯科 院長ブログ

歯医者が嫌いな予防歯科医の診療風景

歯を延命するということ

・基本的に僕は歯とその中にある神経を残す、保存するというスタンスで診療に臨んでいる(明らかにもうダメなやつは取るけども)。

 まぁ、残すというのは大袈裟というか、仰々しいかな…「延命」といった方が正確かもしれない。ボロボロで残根状態になった歯を残してみたところで、20年保つかというと無理だろうと思う。なんとか2、3年でも保ってくれればいいかな…それ以上保ってくれれば御の字だな、と思って保存を試みている。

 だいたいうちのブログで紹介しているケースは、他院で抜歯・抜髄を宣告されたものが多い。まぁ、そりゃ抜歯するよね、というものばかりではあるが。

まあ見事に真っ二つに割れてるケースなんかも多い。
これは根管に絡まずに綺麗に割れていたので助かる。

 

この延命を「意味がない」という先生もいるだろうと思う。
しかし、僕は「意味がある」と思っている。
それはその歯が1年でも2年でも保つならば、他の歯が受ける負担を1年か2年か減らすことができるからで、
もしこれから10本の歯を失うとして、10年で10本が無くなって義歯になるのと、
20年30年かけて10本が無くなって義歯になるのとでは、やはりQOLに差が出る。

まぁ抜いてインプラントにすりゃいいじゃんというのは御尤もなのだが、
インプラントは怖いという方も多いし、なかなかインプラント1本に
40万50万も出すのは厳しいというのも、このご時世からすれば当然だと思う。
なので抜かずに済みそうならば、なんとか抜かずにやってみている。

しかしこの延命は、歯医者側にとってはあまり経営的なメリットが無いもので、
何とか歯を残してみても、2年以内にダメになれば保険の補管システム(マジで糞システムです)のおかげで保険でのやりかえがきかないし、上記のような症例は抜歯してブリッジにした方が断然儲かる。
このあたりが、なるべく歯を残す方針の先生が少ない理由であると思っている。