医療法人ライフストリーム オレンジ歯科 院長ブログ

歯医者が嫌いな予防歯科医の診療風景

MTAセメントによる直接覆髄(IPC)で神経を残せる症例・残せない症例

さて、ウチは基本的に神経を残す治療を積極的に行っております。
まあ、うまくいかないこともあるんですが、それは手遅れだったということで仕方ない。
救える歯髄は可能な限り救いたい。

 

男性:右下の奥歯が痛い

右下6番のPul。IPCはいったん露髄してもらうんですが、

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たまに大出血することがあり、こういうときは残念ながら感染が進んでいて手遅れというか、ダメなことが多いのですが、

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ダメ元でIPCしてみたらうまくいったことも結構ありまして、

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まあ麻酔切れてズキズキ痛むなら神経取らないとダメなんですが、取らなくてすんだらラッキーくらいに思ってて下さいな。

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女性:右上の奥歯に虫歯がある

さてこちらは神経取らないとダメな症例。
右上6番のPerです。痛みはない。

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しかし、齲蝕(赤丸部分)が歯髄腔に到達していて、根っこの先に膿が溜まっている。
こういう場合は間違いなく神経が腐ってしまっているので、その腐った神経を取ってしまわないとダメ。
この状態で放っておくと、どんどん根っこの先に膿がたまり、骨が破壊され、歯茎が腫れ、歯がグラグラし始め・・・と酷いことになります。

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なので、こういう場合は神経を取る治療をして、

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神経を取った部分に防腐剤を詰めて、

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患者さん本人の希望により、CR充填で終了とした。

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という感じで、神経が腐ってたら潔くあきらめて神経取りましょう。
神経が細菌感染する前になるべく早めに来てもらえると、助けられる可能性も上がるかと思います。